認知症で空き家売却のチャンスは戻らなかった

ある空き家が欲しいというチャンスが巡ってきた。

とても景色も良く、眼下にみえる道をかつては武士や商人が行き来したとのこと。そのようなことを想像しながら、天気の良い日にその空き家の縁側に立ち、当時に想いを馳せてみた。

実は水道はきておらず、湧き水と井戸生活。山の中の細い道をまだかまだかと上がってきて、さらに細いヘアピンカーブのような道をあがり、住宅の前までは車ではいけないので、そこで降りて歩きます。

最近よくテレビである、「ポツンと一軒家」・・ご存知ですか?まさにあれ。ただ、上空から見ると周りに家はあるんですけどね。

空気が良く、山間をはるか遠くに広島市内が見えたか見えぬか・・。そこが欲しいという方がいらしたのですが、なにせ、家財がそのままで、住むまでに何からどのよう片づけて手続きをすればいいのかという話が持ち上がりました。

実は、初めて玄関を開けた時に、ハッとしました。予感的中

これはきっと私のような片付けのコーディネートをしている者だからかもしれませんが。以前住んでいらした高齢夫婦は息子さんに引き取られて行きました。高齢ではありますが健康。心配という理由です。キチンとして暮らしをされていた様子です。

物が昨日まで使っていたかのように置いてあります

玄関の土間には農作業の靴が、台所には大きなザルや鍋や湯のみに食器がずらり。 小さな三面鏡には、お婆ちゃんが昨日まで使っていたかのようにヘアピンやおしろい、化粧ビンやクリームなどが。押入れにはお布団がそのまま、衣裳缶には丁寧に畳んだ衣類とほどいた毛糸、お風呂は使用感たっぷりのナイロンタオルがかけてあります。

そして、二階の部屋は都会に出た息子さんの子供の頃好きだったポスターや本がたくさんまだあります。

なにも持たずに行った結果が・・・チャンスを逃したのかも。

ご近所の方に聞くと新しい物を買うので、何も持たずに息子さんの新居に行かれたとのコト。 そうしてほどなくご両親ともに認知症を発症したという事です。 良かれと思いしたことが、招いたことかもしれません。高齢者が家移りをする際は、慎重になります。急な環境の変化に頼れることは、馴染みの物や匂いや色です。

認知症の発症にて名義変更と様々な手続きが日数と費用がかかります。

お父さんのまだ先代の名義の土地建物です。認知症の発症で成年後見をつけ、名義変更の手続きもすぐには行きません。

その間、売却に至ることもなく、チャンスを逃してしまいました。高齢者の所有者は、認知症を含め身体の変化が予測されます。先のことを考えた準備も大事ですね。

また、モノは高齢者の認知を支えてくれる大きなチカラともなります。

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