モノとココロを棚おろすアウトプット
空き家の家財の整理について、ご相談を受ける中で今回、あることを確信した現場があります。
空き家になった実家を所有男性が一人で片づけています。親御さんの衣類が衣装ケースどころか、
家じゅうに積みあがった段ボール箱にもぎっしりと詰まっていました。
それを一緒に確認して、整理・廃棄準備をしました。
新品もあれば、クリーニングを終えてきれいに袋に入ったままのカッターシャツ、
帽子もクリーニングに出されていたそんな一見、丁寧な暮らしに見えましたが、
全てが、長年、箱に突っ込んであり、カビと臭いがしていました。
きっと収納にはご苦労があった暮らしだったのかな‥と察する感じでした。
所有者である息子さんは
「おふくろは、服をたくさん持ってたんだねえ。クリーニングしても箱に突っ込んじゃあねえ・・・」
「親父は、この服を着てよくました。こんな所に出かけてましたねえ」「帽子が好きでしたねえ」
と、自然に故人の話になります。
自分の声を吐き出し、思い出して声に出して、アウトプットすることで、
モノとココロを棚おろしていくことで、けじめがつき、上手に仕分け・手放しができます。
亡き奥様のご実家への気遣いでは・・
ところが、どうしても最後まで残った物があります。
亡き奥様の、婚礼家具のセットです。
ご本人もご親族も婚礼家具を別物として「これは良いものだから・・・」と何度も言われます。
もちろんそうだと思います。立派な桐の箪笥で、設えも素敵なモノです。
でも、その背景には、若くに亡くなった奥様のご実家への気づかいだと私は察しました。
「実家が近くにある・・・・」という言葉が引っ掛かりました。
処分せずに、次に入居される方が使ってくだされば・・と言いつつもその顔は切なく沈んでいました。
本心は、捨てることができないということなのでしょう。
自分の親の物は、話しながらでもすぐに廃棄の袋に入れられるんです。そう、判断・決断ができるのです。
「嫁入り家具」という心のこもったモノに対しての決断は、夫として難しいことでしょう。
私にも同じような経験がありましたので、そう確信しました。
次に購入される方が、どうされるかによって、処分をゆだねられる時がきます。
少しの猶予ではありますが、その時間を作ったサポートで良かったと思っています。